・M&A業界の料金体系について知りたい人
・M&A業界に転職を考えている人
・M&A業界の実務を知りたい人
そんな方のために、本記事では以下のことを解説します。
- M&A業界の料金体系
- 成功報酬が高くなるケースと安くなるケース
- 成功報酬に関しての実務
今回は、M&Aの料金体系について、解説していきます。料金体系は、M&Aを進めるにあたってクライアントに必ず説明する事項となります。また、M&A仲介会社の売上高、M&Aコンサルタントのインセンティブに直結する箇所となりますので、しっかりと理解しておくようにしましょう。
以下の実績を持つ筆者が徹底解説します
・M&A仲介会社への転職に特化した転職支援サービスである合同会社ユニークボックス代表
・大手M&A仲介会社とベンチャーM&A仲介会社に勤務していた
・300名以上の方との面談を通して、M&A業界の転職を成功させるノウハウを確立
数多くの転職エージェントが存在していますが、「実際に勤務していたからこそ可能な独自の選考対策」が可能な会社はかなり少ないです。その中でも、弊社は大手とベンチャーの両方のM&A仲介会社で勤務したことがあるため、業界な稀有な存在として認知していただいています。
M&Aの料金体系は買主と売主によって異なるケースがある
表題の通りですが、M&Aの料金体系は買主と売主によって異なるケースがあります。従って、今回は買主、売主それぞれのパターンについて説明していきます。
買主の料金体系
買主の料金体系は、主に以下の要素で構成されています。
- 着手金
- 基本合意報酬
- 成約報酬
それぞれについてお話していきます。
着手金
着手金が発生するケースは少ないですが、発生する場合には主にトップ面談の時に発生することとなります。
トップ面談とは?という方については、まず以下の記事からご覧になってみてください。
この着手金は案件の成約可否に関係なく返金されることはありません。相場観としては、100万円-300万円となります。
基本合意報酬
基本合意報酬とは、買主と売主が基本合意に至った際に発生する報酬となります。
この基本合意報酬も着手金と同様、案件の成約可否に関係なく、返金されることはありません。
金額としては、次項に説明する成約報酬の10-20%、もしくは100万円-300万円という設定になっているケースが大半です。
成約報酬
成約報酬とは、案件がクローズしたときに発生する報酬となります。
成約報酬の考え方については、主に以下のパターンがあります。
- 株式価値にレーマン方式を適用する
- 移動総資産(株価+負債)にレーマン方式を適用する
レーマン方式は、M&A仲介業界で頻出するワードなので、必ず覚えておくようにしてください。レーマン方式とは、以下の方式のことを指します。
金額 | 割合 |
5億円以下 | 5% |
5~10億円以下 | 4% |
10~50億円以下 | 3% |
50億円~100億円以下 | 2% |
100億円超 | 1% |
以下からパターン①、②について説明していきます。
株式価値にレーマン方式を適用する
買主に対して、この方式を取っているM&A仲介会社は、全体の半分くらいです。
参考例として、株式価値が13億円に対するレーマン方式での金額は、
5億円×5%+5億円×4%+3億円×3%=5,400万円 となります。
従って、買主に対する成約報酬は、5,400万円となります。
移動総資産(株価+負債)にレーマン方式を適用する
上記とは異なるケースです。
参考例として、株式価値が13億円、負債が5億円の会社譲渡に関する成約報酬は、18億円(13億円+5億円)に対してのレーマン方式での算出となります。
従って、5億円×5%+5億円×4%+8億円×3%=6,900万円となります。
パターン①と②では、かなりの差がでるということが確認できたと思います。
売主の料金体系
売主の料金体系は、主に以下の要素で構成されています。
- 着手金
- 基本合意報酬
- 成約報酬
それぞれについてお話していきます。
着手金
着手金が発生するケースは少ないですが、発生する場合には仲介契約書の締結(キックオフのタイミング)で発生することになります。
相場観としては、100-300万円となります。また、売主は会社から着手金については支払うことはできなく、売主個人の負担となることも覚えておきましょう(仲介契約書は株主である個人とM&A仲介会社との契約であるため)。
この着手金は案件の成約可否に関係なく返金されることはありません
基本合意報酬
基本合意報酬とは、買主と売主が基本合意に至った際に発生する報酬となります。
この基本合意報酬も着手金と同様、案件の成約可否に関係なく、返金されることはありません。
相場観としては、次項に説明する成約報酬の10-20%、もしくは100万円-300万円という設定になっているケースが大半です。
ただ、この基本合意報酬も設定していない会社(完全成功報酬制)が最近では多い印象です。
成約報酬
成約報酬とは、案件がクローズしたときに発生する報酬となります。
成約報酬の考え方については、主に以下のパターンがあります。
- 株式価値にレーマン方式を適用する
- 移動総資産(株価+負債)にレーマン方式を適用する
ここは買主と同じパターンなのですが、買主に対する報酬と大きく異なるポイントとしては、多くのM&A仲介会社が①のパターンを採用しているということです(買主の場合は、①と②で半々のイメージです)。
前述した通り、①と②のパターンでは報酬金額は大きく異なります。売主にとっては、譲渡金額から成約報酬を支払うことになりますので、手取り金額が大幅に変わってくるということです。
株価13億円の案件をクローズしたときの成約報酬は?
参考例として先ほど前述した株価13億円の案件をクローズしたときの成約報酬についてお話します。
M&A仲介会社の中で最も多く見られるケースである、
買主:移動総資産(株価+負債)に対するレーマン方式
売主:株価に対するレーマン方式
を例にして計算してみましょう。
買主からの報酬は、6,900万円(=5億円×5%+5億円×4%+8億円×3%)となります。
売主からの報酬は、5,400万円(=5億円×5%+5億円×4%+3億円×3%)となります。
M&A仲介の場合には、買主と売主の双方から報酬を受領することなりますので、成約報酬の合計としては、1億2,300万円(6,900万円+5,400万円)となります。
この1億2,300万円の一部がM&Aコンサルタントのボーナスとなります。ボーナスに関する記事は以下をご覧ください。
まとめ
M&Aの料金体系について、買主と売主では金額が異なるケースがあります。その理由は業界では一般的なレーマン方式を適用する範囲が異なる場合があるためです。
買主、売主それぞれに対して、どのような範囲で計算することがあるのかということを理解しておくようにしましょう。
また、案件が成約したときに発生する報酬がM&Aコンサルタントのインセンティブに直結する部分でありますので、その辺りも理解しておくようにしましょう。
M&Aではいろいろな契約書が必要であることがお分かりいただけたと思います。これらすべての契約書は、基本的にひな形を会社が用意していることが多いですが、顧客に説明するのはあくまでM&Aコンサルタントであるため、内容についてしっかりと理解する必要があります。
また、M&Aコンサルタントは弁護士ではないため、契約書の作成は厳密にはできません。そのため、顧客に案内するときには契約書の草案として案内し、各当事者の弁護士と内容を擦り合わせていただくように推進しましょう。
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