・M&Aで調整する利害関係者の数を知りたい人
・M&Aの仕事の難易度の高さを知りたい人
そんな方のために、本記事では以下のことを解説します。
- M&Aで調整する利害関係者の数
- 利害関係者の内訳
M&A業界への転職理由をお伺いすると、難易度の高い仕事にトライしたいですとか、難易度の高い仕事をやり切った時の達成感を味わいたいというようなお話が聞かれます。
その時にあげた理由は以下の四つです。
- 顧客にとってかなり大きな意思決定をサポートする仕事だから
- 組織決定をさせる仕事があるから
- 自ら考え行動することが求められるから
- M&Aコンサルタントが扱う商材には実体がないから
この中で、「大きな意思決定」と「組織決定」というキーワードに着目して、意思決定・組織決定の難易度の指標となる、利害関係者の数について解説します。
以下の実績を持つ筆者が徹底解説します
・M&A仲介会社への転職に特化した転職支援サービスである合同会社ユニークボックス代表
・大手M&A仲介会社とベンチャーM&A仲介会社に勤務していた
・300名以上の方との面談を通して、M&A業界の転職を成功させるノウハウを確立
数多くの転職エージェントが存在していますが、「実際に勤務していたからこそ可能な独自の選考対策」が可能な会社はかなり少ないです。その中でも、弊社は大手とベンチャーの両方のM&A仲介会社で勤務したことがあるため、業界な稀有な存在として認知していただいています。
利害関係者の数が多いと意思決定のハードルは上がる
利害関係者の数が多いとM&Aコンサルタントにとって、調整するべき人の数が増えるため意思決定の難易度は格段に向上します。
いつ、どの利害関係者に、どのような内容でM&Aの実行について開示するか、M&Aコンサルタントは細かい戦略を立てる必要があるのです。
今回の記事では、以下の4つの難易度に分けて、それぞれの利害関係者の数を考えてみたいと思います。
- 難易度A(簡単)
- 難易度B
- 難易度C
- 難易度D
- 難易度E(難しい)
難易度A(簡単)
もっともスタンダードなM&Aは難易度Aです。利害関係者は以下の2人です。
- 売り手のオーナー社長
- 買い手のオーナー社長
いわゆるオーナー系の中小企業同士のM&Aです。社長が基本的に全ての意思決定を自分で行えるため、スムーズにM&Aが進みます。
難易度B
最も多い状況が買い手も売り手もオーナー社長ではあるのだが、周りの意見も流すことができないというタイプの経営者がM&Aの当事者になるケースです。
利害関係者は以下のような方が想定されます。
- 売り手のオーナー社長
- 売り手のオーナー社長の配偶者の方
- 売り手のオーナー社長のご子息の方
- 買い手のオーナー社長
売り手のオーナー社長の配偶者の方
筆者の今までの案件では、男性のオーナー社長が多かったため、配偶者は奥様になることが大半でした。筆者の感覚では、どんなに通常業務でバシバシと意思決定している経営者の方でも、奥さんの意見にははむかえないというようなケースが多く、奥様をM&Aにおいて賛成派にできるか、反対派になってしまうかは、M&Aの成否に大きな影響を与える印象です。
配偶者の方が会社で勤務しているか否かもポイントであり、勤務している場合はなるべく面談に同席してもらうことが望ましいでしょう。
一見関係なさそうなことも、M&Aの成否にかかわってきます
売り手のオーナー社長のご子息の方
ご子息の方もキーマンとなります。特に、事業承継型の案件では、M&Aを行うことを伝えると「俺(私)が継ぐから売らないでくれ」と言われるケースがあり、事前にご子息の方が事業承継に関してどんな意向なのか確認しておく必要があります。
蓋を開けてみたらM&Aに反対だったということは起こらないように注意しましょう。
難易度C
オーナー系のM&Aではほとんどが、難易度Aか難易度Bの案件です。しかし、所有と経営が分離している会社の場合は難易度がCに上がります。
所有と経営が分離している会社とは、会社を所有する株主と実際に会社を動かす経営側が同一人物ではない(分離している)ことを示します。
上場会社は、社長の株の保有割合にもよりますが、その多くが所有と経営が分離している会社であり、所有と経営の分離が悪いというわけではありません。例えば、読者の方がトヨタ自動車の株を持っていたとしても、決してトヨタの経営をしているわけではないですよね。
トヨタほどの大企業であれば所有と経営を分離させることは、健全な会社の運営上有意義なのですが、中小零細企業において所有と経営が分離していると意思決定のスピードの遅延や、ガバナンスにおいて懸念が多いです。
利害関係者は以下が挙げられます。
- 売る会社の株主
- 売る会社の取締役(経営側)
- 買い手企業
株主としては、売らなければならない理由があって会社を売却するため、そのことを売る会社の取締役陣にも理解してもらいたいと考えます。しかし、経営側の方々としては、会社が売られるというのは、あまりいい気持ちがするものではなく、M&Aをきっかけに取締役を退任してしまう可能性もあるのです。
もし、そのようになればM&Aは愚か、所有する会社の事業継続にも不安が生まれてしまいます。
なるべく経営の方々にM&Aに賛同してもらえるように、M&Aを開示するタイミングや開示方法について戦略を練らないといけないといけません。M&Aコンサルタントにとって腕の見せ所ですね。
難易度D
難易度Dは、買い手側が上場している会社など、合義的な意思決定を採用している会社となる場合です。上場会社が買い手となるM&Aで最悪なブレイクの仕方は、「取締役会で承認が取れませんでした」というものです。この形は、M&Aコンサルタントとして最も避けなければならない形です。
利害関係者は以下の通りです。
- 売り手
- 買い手の事業部長など現場責任者
- 買い手の取締役陣
- 買い手の社長
- 買い手の投資委員会
代表的なものを挙げましたが、上記のような利害関係者が想定されます。
重要なことは、組織決定を行わせようとする場合、絶対に反対派閥が現れるということです。
この反対派閥の反対を押し切って、M&Aを推進するためには、買い手の会社のM&Aの担当者のかたやその上席の社内調整力やポジション、過去の意思決定の実績に関して情報収集を行い、適切なタイミングで適切な意思決定ステップを踏んでいただくことが重要です。
>>【7000字徹底解説】M&Aの仕事で必要な知識24選【前編】
>>【7000字徹底解説】M&Aの仕事で必要な知識24選【後編】
難易度F
最高難易度は、売り手の株主が分散しており、そもそも本当に売却するのか、ではいくらで売却するのか、最もM&Aで重要な部分の意思決定が一筋縄では行かないことです。
利害関係者は以下が想定されます。
- 売り手の株主兼社長
- 売り手の会社に投資する投資家やVC
- 売り手の株主兼従業員
上記のように株主が分散している場合には、M&Aの遂行は困難を極めます。
また、相続をへて一族内で株主が分散している場合なども、かなり困難だと考えられます。
まとめ
今回は、利害関係者の数という観点からM&Aの仕事の難易度を解説しました。あまり解説されていない観点かと思いますので、ぜひ今回の記事で勉強してみてください。
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