
ユニークボックス CMO
大冨 翔太郎(おおとみ しょうたろう)
新卒で大手M&A仲介会社である株式会社ストライクに入社。入社後は30件以上のM&A案件を手掛け、同社において成績上位者として表彰を受けるとともに、最年少での昇進を果たすなど数々の実績を残す。2023年5月に独立し、代表である梶川とともに合同会社ユニークボックスを設立。若手の未経験者から経営層に至るまで、多様な層の転職支援を手掛け、豊富な実績を築いている。
M&A業界は、高収入とキャリアアップの機会から、転職希望者の間で高い注目を集めています。しかし、その一方で転職難易度は極めて高く、とくに未経験者にとっては大きなハードルとなっています。
本記事では、M&A業界の転職難易度が高い理由や、業界で求められる人物像やスキル、評価される経験について詳しく解説します。
M&A業界への転職をお考えの方は、本記事で解説する業界の特徴や求められる要件を十分に理解し、入念な準備を行うことをおすすめします。とくに、未経験から挑戦される方は、専門知識の習得や資格取得など、具体的なアクションプランを立てる際の参考にしてください。
Q
M&A業界への転職難易度は高い?
A
実際の転職難易度は非常に高く、とくに未経験者にとっては大きなハードルといえるでしょう。
業界未経験者であっても成果を出せる人材が求められ、自ら考え行動する力や、マニュアル化されていない業務への対応力が重視されます。
転職・就職を目指す方は、業界知識の習得と実務経験を意識的に行い、M&A専門の転職エージェントを活用することをおすすめします。
Q
M&A業界で求められるスキルは?
A
M&Aの成功には、営業力から財務分析まで、幅広いスキルセットが必要となります。とくに近年は、事業承継やクロスボーダー案件の増加により、求められるスキルの範囲も広がっています。
・営業力とコミュニケーション能力
・分析力と論理的思考力
・財務・会計・法務の専門知識
目次
M&A業界とは

M&Aは、「Mergers and Acquisitions」の略で、企業の合併や買収を指します。
近年、日本では後継者不足による事業承継の課題や、企業の成長戦略としてのM&Aニーズが増加しており、M&A業界の重要性は年々高まっています。
M&A業界では、企業価値の評価から、最適な買い手・売り手のマッチング、交渉の支援、契約書の草案作成まで、取引の全プロセスをサポートします。
売上高が100億円以上の案件を取り扱うこともあり、高度な専門性と責任が求められる業界です。難しい仕事ですが、成果を上げることで高い報酬が期待でき、キャリアアップの観点からも注目を集めています。
特筆すべきは、業界の高収入の実態です。ダイヤモンド・オンラインの「年収が高い会社ランキング2024」によると、M&Aキャピタルパートナーズは全業種で1位を獲得しています。三菱商事(2,091万円)やキーエンス(2,067万円)といった大手企業を上回る水準となっています。
このように、高い専門性と責任に見合った報酬が得られる業界として、キャリア形成の観点からも注目を集めています。
出典:ダイヤモンド・オンライン|年収が高い会社ランキング2024【全1001社・完全版】1500万円超が13社!
M&Aの基本的な定義について
M&Aは企業の「合併」と「買収」を指す用語であり、企業が他の企業と統合したり、他の企業の株式や資産を取得したりするプロセスを表します。
企業がM&Aを選択する目的はさまざまです。市場シェアの拡大や新規事業への参入、経営資源(人材・技術・ノウハウ)の獲得など、成長戦略としての活用に加え、後継者がいない企業の事業承継手段としての役割もあります。
M&A業界特化型転職エージェントのユニークボックスでは、M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーがあなたの転職活動を支援します。お気軽にご相談ください。
無料で転職相談してみるM&Aのプロセスについて
M&Aのプロセスは、ソーシング・マッチング・エグゼキューションの3つのフェーズで構成されています。
ソーシングは、主に売り手企業を発掘する段階です。M&A仲介会社は、企業オーナーや経営者との接点を持ち、M&Aニーズの掘り起こしを行います。
マッチングでは、売り手企業のニーズやM&Aに想定される相乗効果に基づいて、最適な買い手企業を探索します。マッチングの最終段階では、企業の基本的な条件や相性を確認し、双方の合意形成(基本合意書の締結)を図ります。
最後のエグゼキューションは、実際の取引実行フェーズです。ここでは、デューデリジェンス(買収監査)を実施し、企業の詳細な調査と評価を行います。その後、条件交渉や契約締結を経て、最終的なクロージングへと進みます。
無料で転職相談してみるM&A業界のプレイヤーについて
M&A業界を支えているのが、それぞれ異なる専門性と役割を持つ以下のプレイヤーたちです。
- M&A仲介会社
- FAS
- 銀行・メガバンク
- 投資銀行・証券会社
各プレイヤーがどのように連携し、M&Aの成功に貢献しているのか、詳しく解説していきます。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の売却や買収のニーズを持つ企業同士を結びつける結びつけ企業です。
売り手と買い手の双方に対して中立的な立場でサポートを行うことで、双方の利益を考慮した交渉が可能になります。
M&Aは複雑なプロセスであり、法律・税務・会計など幅広い専門知識が必要ですが、仲介会社はこれらの知識を持つ専門家が在籍しており、クライアントに対して適切なアドバイスを提供します。
また、多くのM&A仲介会社は成功報酬型の手数料体系を採用しており、M&Aが成約した際に報酬を受け取ります。これにより、仲介会社は成約に向けて全力を尽くすインセンティブを持っています。
【M&A仲介会社の例】
FAS
FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)は、M&A取引における専門的なコンサルティングサービスを提供します。とくにエグゼキューションフェーズでの、デューデリジェンスが主な役割です。
FASの中心的な業務は、売り手企業の財務状況や潜在的なリスクの調査です。主に公認会計士が中心となり、企業の財務データの分析や、問題点の洗い出しを行います。また、企業価値評価(バリュエーション)の実施や、その妥当性の検証も重要な業務です。
大型案件ではBig4が主要なプレイヤーとなり、中小企業案件では独立系FASが対応するなど、案件規模による棲み分けが存在します。
【FASのBIG4】
- DTFA(デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー)
- 株式会社KPMG FAS
- PwCアドバイザリー合同会社
- EY SC(EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社)
銀行・証券会社
M&A業界において、銀行のM&Aチームと証券会社は、それぞれの専門性を活かして企業のM&A戦略をサポートしています。
銀行のM&Aチームや証券会社は、M&Aアドバイザリー業務が中心です。M&A仲介会社とは違い、売り手と買い手のどちらか一方のアドバイザーとなって、M&Aのプロセスを推進します。
また、上場企業のTOB(公開買い付け)の代理人としても機能します。
【銀行・証券会社の例】
- みずほフィナンシャルグループ
- ゴールドマン・サックス
- バークレイズ
- ジャフコ
- 野村ホールディングス
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- センタービュー・パートナーズ
M&A業界特化型転職エージェントのユニークボックスでは、M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーがあなたの転職活動を支援します。お気軽にご相談ください。
無料で転職相談してみるM&A業界への転職難易度は高い?
M&A業界は、市場拡大と高収入を背景に、転職先として注目を集めています。しかし、実際の転職難易度は非常に高く、とくに未経験者にとっては大きなハードルといえるでしょう。
業界未経験者であっても成果を出せる人材が求められ、自ら考え行動する力や、マニュアル化されていない業務への対応力が重視されます。
新卒採用も同様に難易度が高く、以下の特徴があります。
- 採用数が限られている
- 早慶・旧帝大などの難関大学出身者が中心
- 高い志望動機と基礎的な専門知識が要求される
- インターンシップなどの実務経験が重視される
転職・就職を目指す方は、業界知識の習得と実務経験を意識的に行い、M&A専門の転職エージェントを活用することをおすすめします。
M&A業界特化型転職エージェントのユニークボックスでは、M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーがあなたの転職活動を支援します。お気軽にご相談ください。
無料で転職相談してみる転職難易度が高いM&A業界の現状
M&A業界は、中小企業の事業承継問題や企業の成長戦略として、その重要性が年々高まっています。
経済産業省の調査によると、2022年度の国内中小M&A実施件数は、事業承継・引継ぎ支援センター経由で約1,700件、民間M&A支援機関経由で約4,000件に達しており、市場は着実に拡大しています。
一方で、M&A業界への転職は依然として難易度が高く、ここでは実態と背景について解説します。
出典:経済産業省|事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について
M&A業界の動向
M&A業界は、日本企業の事業承継問題を背景に大きな転換期を迎えています。
2023年時点で、経営者の平均年齢は60.5歳で、70代以上の経営者も増加傾向にあることから、事業承継型M&Aの需要は今後さらなる拡大が予想されます。
また、業界構造にも変化が見られます。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や、イノベーション創出を目的としたM&Aが活発化しており、とくに中小企業においても、経営資源の有効活用を目的としたM&Aの活用が増加しています。
この流れを受けて、国としても積極的な支援策を展開。とくに、M&Aを通じた事業承継支援の強化に注力しており、生産性向上支援や、地域の小規模事業者向け支援体制の整備を進めています。
また、M&A市場の健全な発展に向けた環境整備にも取り組んでおり、中小企業のM&A促進に向けたガイドラインの整備なども行っています。
今後は、より一層の市場拡大とともに、M&Aの質的向上も求められる時代となっていくでしょう。
出典:経済産業省|事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について
M&A業界の採用動向
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」の統計データは以下のとおりです。
【雇用状況の基本データ】
- 全国の就業者数:約83,000人
- 平均年齢:40.7歳
- 平均年収:947.6万円
- 月間労働時間:168時間
採用市場の特徴として、大都市圏に求人が集中し、正社員採用が主流である点が挙げられます。組織体制は、M&A専任チーム3〜4名程度の少人数制が一般的で、未経験者も多く参入してきています。
求められる人材像も多様化し、従来の財務・会計知識に加え、事業戦略の立案能力や経営者とのコミュニケーション力、さらにはデジタル技術への理解など、より総合的なスキルセットが重視されるようになっています。
案件状況による残業の増加もあり、フレックスタイム制や裁量労働制を導入する企業が増えているのも最近の傾向といえます。
人材市場は今後も拡大が予想されますが、求められる専門性と期待値は依然として高く、転職難易度も高水準を維持しています。成功のためには、業界動向の理解と必要スキルの習得が不可欠といえるでしょう。
出典:厚生労働省|職業情報提供サイト jobtag「M&Aマネージャー、M&Aコンサルタント/M&Aアドバイザー」
M&A業界特化型転職エージェントのユニークボックスでは、M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーがあなたの転職活動を支援します。お気軽にご相談ください。
無料で転職相談してみるM&A業界の転職難易度が高い理由
M&A業界は、企業の合併・買収を通じて高度な経営判断をサポートする専門性の高い業界です。
年収の高さやキャリアアップの機会から、多くの転職希望者が集まる一方で、その難易度は極めて高いとされています。
なぜM&A業界への転職は難しいのでしょうか。ここでは、主な理由を2つに分けて解説します。
① 専門スキルと知識が求められるから
M&A業界では、企業の存続や成長に直結する重要な意思決定をサポートするため、高度な専門性が求められます。
財務・会計の知識はもちろん、企業価値評価や財務分析、キャッシュフローなど幅広い知識が必要です。日商簿記2級以上の知識や、公認会計士、事業継承士などの資格保持者が優遇される場合もあります。
また、契約書の草案作成や法規制の理解など、法務知識も重要です。さらに、経営者との折衝に必要なコミュニケーション能力や、複雑なプロジェクトを遂行するための論理的思考力も必須です。
②完全実力主義だから
M&A業界は徹底した成果主義が特徴で、実績が評価に直結します。案件の成約数や成約金額が明確な評価指標となり、これらの実績が報酬や昇進に大きく影響します。
とくにM&A仲介会社では、インセンティブ制度が一般的で、成果を出せないと収入が減少するリスクがあります。
また、M&A案件は企業の命運を左右する重要な意思決定であるため、失敗が許されない緊張感の中で業務を遂行する必要があります。案件の進捗状況によっては長時間労働も発生し、高いストレス耐性も求められます。
このような厳しい環境で成果を出し続けられる人材は限られており、それが転職難易度を高めている一因となっています。
無料で転職相談してみるM&A業界で求められる人物像
M&A業界は、企業の命運を左右する重要な意思決定に関わる分野であり、高度な専門性と人間力が求められます。
とくに企業経営者とのコミュニケーションや、複雑な案件の遂行には、特定の資質とスキルセットが必要です。ここでは、M&A業界で求められる人材に共通する特徴を解説します。
1. 高いコミュニケーション能力
企業経営者との信頼関係構築や交渉が業務の中心となるため、優れたコミュニケーション能力が必要です。単なる会話力だけでなく、以下のような要素も求められます。
- 経営者の真意を理解する洞察力
- 複雑な案件を分かりやすく説明する力
- 利害関係者との調整・交渉能力
- チーム内での効果的な情報共有力
2. 学び続ける姿勢と成長意欲
M&A業界はつねに進化しており、新しい知識やスキルの習得が欠かせません。忙しい日々の中でも、以下のような学び続ける姿勢が必要です。
- 財務・法務・税務など最新の専門知識
- 業界動向や経済環境の理解
- 実務経験からの学習と成長
- 自己啓発への強い意欲
3. 高いストレス耐性と問題解決力
M&A業界では大型案件や複雑なプロジェクトを扱うため、以下のような資質が重要です。
- プレッシャーの中での冷静な判断力
- 予期せぬ事態への柔軟な対応力
- タイトな締切に対する時間管理能力
- 複雑な問題の解決に向けた論理的思考力
これらの要素を備えた人材は、M&A業界で高い評価を得やすく、キャリアの成長機会も広がります。業界への転職を考える際は、自身がこれらの資質を持ち合わせているか、または育成できる可能性があるかを慎重に見極めましょう。
M&A業界特化型転職エージェントのユニークボックスでは、M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーがあなたの転職活動を支援します。お気軽にご相談ください。
無料で転職相談してみるM&A業界で求められるスキル
M&Aの成功には、営業力から財務分析まで、幅広いスキルセットが必要となります。
とくに近年は、事業承継やクロスボーダー案件の増加により、求められるスキルの範囲も広がっています。ここでは、M&A業界で必要とされる主なスキルについて、詳しく解説します。
また、次の記事ではM&A仲介に必要なスキルや知識について詳しく解説しているので、M&A仲介希望の方はこちらも合わせてチェックしてみてください。
→M&A仲介に求められるスキルは?M&Aコンサルタントに必要な能力を解説
営業力とコミュニケーション能力
M&A業務でまず重要なのは、経営者との信頼関係構築と交渉です。とくにM&A仲介会社では、売り手・買い手企業の開拓から案件成立までの一連のプロセスで、高度な営業力が求められます。
具体的には以下のスキルが重要です。
- 新規顧客を見つけ出し、アプローチする力
- 潜在的なニーズを見極め、クライアントに対してM&Aのメリットを提案する力
- 経営者の真意を引き出す傾聴力
- 長期的な信頼関係を構築する力
とくに重要なのは「提案力」です。クライアントの経営課題を深く理解し、M&Aを通じた最適なソリューションを提案できる能力が必要です。
分析力と論理的思考力
M&A案件では、企業価値評価から統合後のシナジー効果まで、さまざまな分析が必要です。データを正確に分析し、論理的な結論を導き出す能力が求められます。
【主な分析スキル】
- 財務データの分析と解釈
- 市場環境・競合分析
- シナジー効果の定量評価
- リスク分析と対策立案
上記の分析にはデータにもとづく客観的な判断と、それを分かりやすく説明する能力が必要です。
財務・会計・法務の専門知識
M&A案件の遂行には、さまざまな専門分野の知識も必要です。特に以下の知識は重要視されます。
【財務・会計分野】
- 企業価値評価
- 財務諸表分析
- 税務処理の理解
【法務分野】
- 契約書の草案作成
- 各種法規制の理解
- コンプライアンス対応
関連する資格があると、専門性の証明として高く評価されます。ただし、資格の有無以上に、実務での応用力が重視される点も特徴です。
また、次の記事ではM&A業界で働くうえで有利な資格を13個紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
→M&A業界の資格とは?おすすめの資格13選!必要性や取得のメリットについて解説
M&A業界特化型転職エージェントのユニークボックスでは、M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーがあなたの転職活動を支援します。お気軽にご相談ください。
無料で転職相談してみるM&A業界で評価される経験
M&A業界の転職では、実務経験も重視されます。幅広い業界からの転職者を受け入れる傾向にありますが、特定の業界での経験は高く評価される場合もあります。
ここでは、実践的なスキルと経験が重要視される背景と、評価される経験について詳しく解説します。
M&A関連の実務経験
M&A仲介やアドバイザリー業務の経験者は、転職市場で高い評価を受けます。企業の買収や売却に直接関わった経験は、即戦力としての価値が極めて高いといえるでしょう。
【評価されるポイント】
- 経営者や役員との交渉力
- 案件のソーシング(発掘)から成約までの一連のプロセス理解
- プロジェクト管理能力
とくに、複数の案件を手がけた経験や、大型案件の経験は、転職市場で高い競争力を持ちます。
金融業界での経験
メガバンクや証券会社、投資銀行での経験、とくに法人営業やファイナンス業務の経験者は、M&A業界での即戦力として期待されます。財務分析力と法人営業のスキルが、M&A業務と親和性が高いためです。
【高く評価される業務経験】
- 企業財務分析と信用審査
- 法人向け金融商品の提案
- 資金調達や財務戦略の立案
- リスク管理とコンプライアンス対応
金融機関での経験は、M&A業界で必要とされる専門知識の多くをカバーしており、スムーズな転職が期待できます。
M&A業界特化型転職エージェントのユニークボックスでは、M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーがあなたの転職活動を支援します。お気軽にご相談ください。
無料で転職相談してみるM&A業界の労働環境とキャリアパス
M&A業界は高い専門性と成果が求められる一方で、平均年収は業界上位の企業で1,000万円を超え、キャリアパスも明確です。
ここでは、実際の給与体系や労働時間、離職率、そしてキャリアの展望について解説します。
また、次の記事ではM&A業界は激務なのか、徹底解説しているので気になる方は参考にしてみてください。
→【徹底調査】M&A業界は激務?理由や業務内容、転職するメリットを解説
M&A業界の給与・年収の実態
M&A業界は、高度な専門性と大きな取引金額を扱う特性から、一般的に高い年収水準が特徴です。基本給に加えて充実したインセンティブ制度が整備されており、成果次第で大きく収入が伸びる可能性があります。
業界の平均年収は約950万円ですが、経験や実績によって大きく変動します。
また、大手M&A仲介業者の平均年収は以下のとおりです。
【M&A仲介業者の平均年収】
- M&Aキャピタルパートナーズ:約2,277万円(※2024年9月末現在)
- 日本M&Aセンター:約1,243万円(※2021年度)
- ストライク:約1608万円(※2024年9月末現在)
出典:M&Aキャピタルパートナーズ|第19期 有価証券報告書
※日本M&Aセンターについては平均給与の記載が2021年度が最終更新となっている
多くの企業で採用されている成功報酬型の給与体系では、売上高の15〜30%程度がインセンティブとして支給されるため、成果次第で大きな収入を得られる可能性があります。
M&A業界の労働時間と残業
M&A業界は激務というイメージがあるとおり、長時間労働が特徴的な業界として知られています。実態を見ると、月間平均残業時間は約40〜90時間程度で、とくに繁忙期には100時間を超えることもあるようです。
【主なM&A仲介業者の平均残業時間】
- M&Aキャピタルパートナーズ:約87.2時間
- 日本M&Aセンター:約75.7時間
- ストライク:約35.2時間
この背景には、M&Aプロジェクトの特性が影響しています。一般的にM&A案件は8ヶ月〜1年以上の期間を要し、複数案件を同時進行させることも多く、これが長時間労働の主な要因となっています。
ただし、近年は働き方改革の流れを受けて、労働環境の改善も進んでいます。多くの企業でリモートワークやフレックスタイム制が導入され、有給休暇の取得率も一般企業と遜色ない40~60%程度を維持しています。
一方で、成果主義の評価体系や専門知識を習得する必要性があることから、依然として長時間労働の傾向は続いています。
M&A業界の離職率
M&A業界の離職率は、日本の全産業平均(約15%)と大きな差はありません。例えば、日本M&Aセンターの直近5年間の離職率は約14%(※)です。
(※)以下、直近5年間の離職率をもとに平均値を算出
【日本M&Aセンターの離職率】
- 2019年度:12.6%
- 2020年度:11.2%
- 2021年度:15.1%
- 2022年度:14.9%
- 2023年度:17.0%
この比較的低めの離職率の背景には、いくつかの要因が考えられます。
まず、業界全体の高水準な報酬体系が挙げられます。基本給に加えて成果に応じたインセンティブ制度が充実しており、努力が収入に直結する仕組みが整っています。
また、企業の重要な意思決定に関わる業務特性から、高いやりがいと達成感を得られることも要因の1つです。
M&A業界のキャリアパス
M&A業界では、専門性の高さや幅広い知識・経験を活かして、以下のような転職先が考えられます。
- 事業会社のM&A部門
企業内でM&A戦略の立案から実行までを担当。成長戦略に直接関与できる点が魅力。 - 金融機関のM&A部門
投資銀行や証券会社で専門性を活かしたアドバイザリー業務が可能。 - コンサルティングファーム
M&Aの知識をもとに、経営戦略や事業再生のコンサルティングを提供。 - 独立・起業
経験を活かして自身のM&A仲介会社を設立するなど、独立の道も開かれている。
このようにM&A業界での経験は、将来的なキャリア形成においても大きなアドバンテージとなるでしょう。
また、次の記事ではM&A仲介からの転職先について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
→【M&A仲介からの転職】転職先を業界別に解説【キャリアパス】
M&A業界特化型転職エージェントのユニークボックスでは、M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーがあなたの転職活動を支援します。お気軽にご相談ください。
無料で転職相談してみるM&A業界に未経験から転職することは可能か?
結論、未経験からのM&A業界への転職は可能です。
以前は金融機関での営業経験者が主な採用対象でしたが、現在は採用条件が緩和され、多様な業界からの転職が増えています。
ただし、業界大手の内定率は1桁台と依然として厳しく、以下のような経験やスキルが重視されます。
- 法人営業経験
- 財務・会計の基礎知識
- 業界分析力
- コミュニケーション能力
とくに、事業承継士などの資格保持者や、金融・商社での業務経験者は評価が高くなります。未経験者の場合、まずはM&A関連の資格取得や業界知識の習得から始めることで、転職成功の可能性を高めることができるでしょう。
また、次の記事ではM&A業界に未経験で転職する方に向けて役立つ情報をまとめているので、ぜひ参考にしてください。
→M&A業界は未経験者でも転職可能?(未経験 求人|転職難易度|資格|採用情報)
無料で転職相談してみるM&A業界未経験者が転職で失敗しないためのポイント
M&A業界は未経験者でも転職できますが、参入のハードルは決して低くありません。転職を成功させるためには入念な準備と適切な戦略が必要です。
ここでは、M&A業界未経験者が転職で失敗しないためのポイントを解説します。
業界研究と自己分析を徹底する
M&A業界は華やかなイメージで注目を集めていますが、実態は地道な営業活動と高度な専門知識が求められる世界です。転職を成功させるためには、業界の特性と自身の適性を正確に理解することが重要です。
M&A業務の本質は、企業の重要な意思決定をサポートすること。そのため、経営者との信頼関係構築や、財務・法務などの専門的な分析が日常的に求められます。
また、案件の成約までには数ヶ月から1年以上かかることもあり、粘り強さと高いコミュニケーション能力も必要です。
自己分析においては、これまでのキャリアでの成功体験や強みが、M&A業界でどのように活かせるかを具体的に検討することが重要です。とくに、法人営業での実績や、プロジェクトマネジメントの経験は、M&A業務との親和性が高く、強みとしてアピールできます。
必要なスキルを事前に習得する
M&A業界で求められるスキルは多岐にわたりますが、未経験者でも事前にスキルを習得しておくことで、ライバルに差をつけられます。基本的な資格取得と、これまでの経験の棚卸しが重要です。
まず、日商簿記2級やM&Aエキスパート認定資格など、業界で評価される資格の取得を目指しましょう。これらの資格は、財務・会計の基礎知識を証明するだけでなく、業界への本気度をアピールすることにもつながります。
また、前職での営業実績や成果を具体的な数字で示せるよう整理しておくことも重要です。とくに、新規開拓や大型案件の成約、チームマネジメントなどの経験は、M&A業界でも活かせる貴重なスキルとなります。
転職先企業の選定を慎重に行う
M&A業界への転職成功には、自身のキャリアプランに合った企業選びが重要です。とくに未経験者の場合、教育体制の充実度が重要な選択基準となります。
まず、企業の研修制度とOJTプログラムの内容を確認しましょう。体系的な教育プログラムがある企業では、スキルの習得がスムーズになります。また、先輩社員のサポート体制や、案件への関与度合いについても確認が必要です。
企業規模や特徴によっても、求められる役割は異なります。大手企業では専門性の高い業務に特化できる一方、中堅企業では幅広い経験を積める可能性があります。自身の志向や成長戦略に合った環境を選ぶことで、長期的なキャリア構築が可能です。
M&A業界特化型転職エージェントのユニークボックスでは、M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーがあなたの転職活動を支援します。お気軽にご相談ください。
無料で転職相談してみるM&A業界への転職方法
M&A業界への転職は、高度な専門性と独自の採用基準から、業界未経験者はもちろん、経験者であっても入念な準備と自分に合った転職方法を選ぶことが大切です。
今回は、M&A業界への主な転職ルートとして、直接応募・リファラル採用・転職エージェント活用の3つの方法について、それぞれの特徴と活用のポイントを解説します。
(1)直接企業に応募する
直接応募は、企業の求人情報にもとづいて自らアプローチする方法です。直接応募する場合は、自身のキャリアプランと企業の求める人材像を丁寧にすり合わせることが重要です。
応募にあたっては、企業の業務内容や文化を深く理解し、自身のスキルや経験がどのように貢献できるかを明確にアピールする必要があります。とくに履歴書と職務経歴書では、M&A関連の経験や財務知識を具体的に記載し、企業のニーズとのマッチングを意識した内容にすることがポイントです。
(2)リファラル採用で入社する
リファラル採用は、企業の現社員からの推薦を受けて入社する方法で、通常の選考ルートと比べてスムーズな転職が期待できます。推薦者が候補者の能力や人柄を熟知しており、企業文化との相性も事前に判断できるためです。
この採用方法のメリットは、企業側からの信頼度が高く、社内の実情や業務の詳細を事前に把握できるため、入社後のミスマッチも少ないことです。
前職の同僚や知人・友人がM&A業界に勤めている場合には、勤務先でリファラル採用を導入していないか、確認してみると良いでしょう。
(3)転職エージェントを活用する
M&A業界への転職を効率的に進めたい人や、とくに未経験者の場合は、転職エージェントの活用がおすすめです。業界特化型のエージェントは、豊富な求人情報と専門的な知見を持ち合わせており、書類作成から面接対策、条件交渉まで総合的にサポートしてくれます。
エージェントは非公開求人の紹介や、企業の詳細な情報提供も行うため、より多くの選択肢の中から自分に合った転職先を見つけることが可能です。
業界専門の転職エージェント「ユニークボックス」は、M&A業界経験者のキャリアアドバイザーが、実務経験にもとづいた具体的なサポートを提供します。
M&A業界未経験者・経験者、また中途採用希望の方や新卒の方も、まずはお気軽にご相談ください。
無料で転職相談してみるM&A仲介会社への転職ならユニークボックス

下記の強みが、あなたの転職を成功に導きます!
- M&A業界特化型転職エージェント
- 大手M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーが多数在籍
- 実際に働いていたからできる綿密な面接対策で、高い内定率を実現
- 弊社独自の特別選考ルートを多数確保
\秘密保持の観点から記事には書けない転職情報も多数保有/
無料で転職相談する
コメント