・後継者不在の実態について知りたい人
・M&A業界への転職を検討している人
・M&A業界の外部環境について理解したい人
そんな方のために、本記事では以下のことを解説します。
- データで見る後継者不在の実態
- M&A業界の外部環境
- M&A業界の今後について
M&A仲介業界は、主に後継者不在の会社向けにM&Aのアドバイスをしています。従って、M&A仲介業界の動向は後継者不在の実態と密接に関係していることになります。
今回は、後継者不在の実態について、外部レポートなどを活用しながら解説していきます。
以下の実績を持つ筆者が徹底解説します
・M&A仲介会社への転職に特化した転職支援サービスである合同会社ユニークボックス代表
・大手M&A仲介会社とベンチャーM&A仲介会社に勤務していた
・300名以上の方との面談を通して、M&A業界の転職を成功させるノウハウを確立
数多くの転職エージェントが存在していますが、「実際に勤務していたからこそ可能な独自の選考対策」が可能な会社はかなり少ないです。その中でも、弊社は大手とベンチャーの両方のM&A仲介会社で勤務したことがあるため、業界な稀有な存在として認知していただいています。
後継者不在率、60%を下回る?!
2022年の帝国データバンクによる調査レポートでは、後継者不在率が57.2%となり、5年連続で不在率が低下しています。
上記が2016年からの後継者不在率の推移ですが、徐々に低下してきていることがわかります。
後継者不在率の低下には、M&A仲介会社や公的機関(事業引継ぎ支援センター等)の活躍が大きいのではないでしょうか。
全体の割合としては、後継者不在という問題が徐々に解決しているような気がします。
今回の記事では、以下の切り口から後継者不在問題の現状を分析していきます。
- 年代別
- 地域別
- 業種別
年代別!後継者不在率は?
年代別!後継者不在率は?帝国データバンクレポートから抜粋して分析していきます。
年代別では、40-70代の後継者不在割合が、ピーク時と比較して減少傾向にあり、事業承継を考えるタイミングが少し早まったといえます。これは、M&A仲介会社の啓蒙活動による成果といってもいいのではないでしょうか。
また、昔までは、体が動かなくなるまで働くという考えで、長く働く経営者が多かったように感じますが、今では、早めに事業承継をして余生を楽しむという生き方も増えてきていることも関係あるように思えます。
地域別!後継者不在率は?
地域別で後継者不在率が高い県は以下のとおりです。
- 1位:島根県(75.1%)
- 2位:鳥取県(71.5%)
- 3位:秋田県(69.9%)
- 4位:北海道(68.1%)
- 5位:沖縄県(67.7%)
- 6位:神奈川県(66.2%)
- 7位:大分県(65.6%)
- 8位:山口県(65.3%)
- 9位:岐阜県(62.9%)
- 10位:愛媛県(62.1%)
会社数に対する不在率なので、一概にマーケットが大きいとは言えませんが、M&A仲介業において新規開拓をするには、上記の数字は参考にしたいところです。
一方で、後継者不在率が低い県は以下のとおりです。
- 1位:熊本県(49.5%)
- 2位:宮崎県(49.3%)
- 3位:香川県(49.0%)
- 4位:山梨県(47.6%)
- 5位:佐賀県(46.8%)
- 6位:鹿児島県(46.4%)
- 7位:和歌山県(46.2%)
- 8位:福島県(44.7%)
- 9位:茨城県(42.7%)
- 10位:三重県(29.4%)
後継者不在率が低い県を見ると、地域別では九州地方が多い印象です。会社数も多くない割に、後継者不在率も低いので、九州のマーケットが難しいと言われている所以なのかもしれません。
業種別!後継者不在率は?
業種別の後継者不在率は以下のとおりです。帝国データバンクレポートから抜粋して分析していきます。
業種別では、建設業、サービス業、小売業が後継者不在の多い業種となっています。建設業は会社数も多いですし、新規で開拓する業種としてはいい業種かもしれません。
後継者不在率は低下、M&A仲介業界の今後は?
結論として、まだまだM&A仲介業界は伸びると予想しています。
後継者不在率が下がっているから、マーケットも縮小していくのでは?と思う人もいるかもしれませんが、そもそもM&A仲介会社はキャパシティの問題から、全ての後継者不在の会社にアプローチできている現状ではありません。
従って、後継者不在のマーケットに対して、まだまだアプローチできる余地が残されています。
また、後継者不在のアンケートでは、前提として「現時点」という話です。中には、子供への後継を検討していたけど、子供がやらない/やらせないという選択肢が出てきたという話は往々にしてあります。
合わせて、M&A仲介会社は、事業承継マーケット以外へもアプローチを始めているので、全体のパイとしては広がりつつあり、マーケットのシュリンクというのはまだ始まらないでしょう。
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