
ユニークボックス CMO
大冨 翔太郎(おおとみ しょうたろう)
新卒で大手M&A仲介会社である株式会社ストライクに入社。入社後は30件以上のM&A案件を手掛け、同社において成績上位者として表彰を受けるとともに、最年少での昇進を果たすなど数々の実績を残す。2023年5月に独立し、代表である梶川とともに合同会社ユニークボックスを設立。若手の未経験者から経営層に至るまで、多様な層の転職支援を手掛け、豊富な実績を築いている。
2020年10月に河野太郎氏が「中小企業のM&A」というタイトルでブログを書いて世間を賑わせましたね。内容はM&A仲介は利益相反となる可能性があると指摘した記事となっています。
はその後も企業を買い取る可能性があります。
仲介者にとってみれば、一回限りのビジネスにしかならない売り手に寄り添うよりも、今後もビジネスができる買い手に寄り添う方が得になります。
双方から手数料をとる仲介は、利益相反になる可能性があることを中小企業庁も指摘しています。
河野太郎氏のブログより 「中小企業のM&A」
さて、この問題について皆さんはどのように考えてますでしょうか?
今回はM&A仲介に特化した人材エージェントであるユニークボックスが解説をしていきたいと思います。
そもそも利益相反とは?
利益相反とは、ある取引について、片方の利益になる一方で、他方には損害となるという事を指します。
例として、SEOのコンサルをやっている会社(※あくまで例です)が、とある業界の会社Aとその競合他社であるBとも契約をし、両社にサービス提供をすることなどが挙げられます。
特にこのような場合にはA社との契約書に競合他社B等へのサービス提供を禁ずるなどの文言が入るケースがあります。
M&A仲介は利益相反なのか?
結論、M&A仲介は利益相反取引になり得る可能性があります。
では、どういったケースが利益相反になるのかについて、解説していきます。
情報の非対称性を悪用する
M&A仲介者は立場上、売り手、買い手に対して圧倒的な情報優位性があります。M&A仲介者は売り手、買い手の非公開情報であってもアクセスできる立場にあるからです(基本的にディール中は直接交渉の禁止といって、売り手と買い手は直接仲介者を通さずに話や情報交換をすることは出来ず、非公開情報にアクセスすることは困難です)。
そこで、その立場を利用し、案件の成約を第一優先に考えて、売り手もしくは買い手の片方にネガティブな情報を伝えずに成約させたりしようとすると、利益相反になります。
クライアントに仲介である事を伝えていない
中小企業ガイドラインの策定により、買い手と売り手に対して、自社が仲介の立場で案件に携わるということを告知しなくてはいけなくなりました。
これはM&A仲介がクライアントに対して、仲介という形で携わるということを認識させることで、必ずしも自社(=片方のクライアント)の利益のためだけに動くわけではないということを暗示させるものになります。
そこを認識できるクライアントでしたら、仲介という形でも問題はないのではないでしょうか。
規定以上の手数料を取る
M&Aの仲介では、手数料の相場はある程度決まっています。
しかし、中にはフェアバリューより安い金額をM&Aコンサルタントから売主に提示し、フェアバリュー前後で買い手から価格提示をさせて、その差分の一部を仲介手数料として受け取るという取引も存在しています。
例)フェアバリュー10億円の売り手に対して、7億円なら譲渡できますよという話をし、特定の買い手に持ち込んで8億円で価格提示をさせて、フェアバリューとの差分である2億円(=10億円-8億円)の一部である1億円を手数料としていただくというケース。
このケースでは、買い手はフェアバリューより安く買収できますから得していますが、売り手についてはフェアバリューより安い金額で譲渡している(させられている)ので、利益相反となります。
ここで、不特定多数の会社に提案したらフェアバリューが提示価格になるのでは?と考える方もいるかもしれませんが、上記のようなケースでは、買い手とM&Aコンサルタントが繋がっており、買い手から自社だけに提案してくれたら、フィーを多く渡すよ、みたいな話を水面下でされていますので、不特定多数に提案されることはありません。
まとめ
上記の利益相反となり得る取引について、理解いただけましたでしょうか。
M&A仲介は立場上、情報の優位性がありますので、利益相反とならないように倫理観が必要です。現況では、上記の事例をしっかりと守っていたら、利益相反と指摘されることは少ないでしょう。
ただ、中には、そもそも売り手は高く売りたい、買い手は安く買いたいという思いがあるので、仲介というスタイルが利益相反だという意見もあるかもしれません。
しかし、中小企業のM&Aでは価格だけが全ての意思決定要素ではないケースもあります。
相手先の規模感、社風、引継ぎ条件、今後の展望、などなど。
このような定性的な要素についても、しっかりと仲介者が間に入って、良いご縁を提供する必要があります。
要するに、M&A仲介会社は売り手と買い手の双方の条件や希望を調整しながら、スムーズにトラブルなく、案件を成約まで導くことが仕事なのです。
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