ユニークボックス CEO
梶川 耀雅(かじかわ ようが)
キャリアのスタートを株式会社ストライクで切り、数々のM&A案件を手掛ける。その後、創業期の株式会社M&Aコンサルティングに転職し、設備工事、建設、製造業など幅広い業界の案件を成約に導く。
2023年5月に独立し、大冨とともに合同会社ユニークボックスを共同創業。これまでに累計500名以上のM&A業界への転職支援を行い、業界トップクラスの支援実績を誇る。
Q
M&Aに必要なスキルは?
A
M&Aの業務を行うにあたっては以下のようなスキルセットが求められます。
・経営者から信頼される人間力
・あきらめずにやり切る突破力
・論理的思考力
・多くの利害関係者を調整する交渉力
・財務や法務、労務や税務などの幅広い知識
関連記事:M&A仲介に必要なスキルは?M&A人材に必要な知識を解説
Q
M&A業界の大手はどこ?
A
M&A業界における大手は以下の3社です。
いずれも上場しており、優れた社内体制が整っているため未経験からの転職先としてもおすすめいたします。
・株式会社日本M&Aセンター
・株式会社M&Aキャピタルパートナーズ
・株式会社ストライク
関連記事:M&A仲介業界の売上高ランキング
M&A業界は、企業の成長戦略や事業承継の一環としての役割を果たしており、近年その需要が急速に高まっています。
しかし、この分野で活躍するためには、多岐にわたる専門知識と実務スキルが求められ、とくに専門資格の有無が信頼性やキャリアアップの鍵となることも少なくありません。
本記事では、M&A業界でおすすめの国家資格8選と民間資格5選を詳しく解説するとともに、業界で必要とされるスキルや資格取得のメリットについても掘り下げます。
これからM&A業界を目指す方や、業界でさらなる成長を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
目次
M&A業界で働くために資格は必要なのか?
M&A業界で働くために資格が必要かどうかは、新卒と中途で異なります。
新卒採用では資格よりも人物重視の傾向が強い一方、中途採用では専門資格が重要な評価ポイントとなることが多いのが特徴です。
ただし、資格の有無に関わらず、経営者と深い対話ができるコミュニケーション能力が最も重視される業界といえます。
新卒採用では資格は必須ではない
新卒採用において、M&A業界の多くの企業は資格の有無よりも、以下のポイントを重視する傾向にあります。
- 論理的思考力と分析能力
- コミュニケーション能力
- 学習意欲と向上心
- チームワーク力
- ビジネスセンス
入社後の研修制度が充実している企業が多く、必要な専門知識は段階的に習得できる環境が整っています。
中途採用では専門資格が強みに
M&A業界の中途採用では、以下のような専門資格の保有が評価されます。
- JMAA認定M&Aアドバイザー
- M&Aスペシャリスト
- M&Aエキスパート認定資格
- 事業承継士
- 簿記2級
- 公認会計士
- 税理士
- 弁護士
- 中小企業診断士
- ファイナンシャルプランナー(FP)
- 宅地建物取引士
- 司法書士
- 社会保険労務士
ただし、資格自体がアドバンテージとなるというよりも、資格取得を通じて得られる知識や姿勢が評価のポイントとなります。
また、企業によっては資格の保有と実務経験が必須の場合もあるため、募集要項などをよく確認してみましょう。
M&A業界で働くうえで資格を取得するメリット
M&A業界で活躍するためには、資格取得は大きな武器となります。未経験からM&A業界に挑戦する場合はもちろん、すでに業界で活躍している方にとっても、新たな資格取得はさらなる飛躍のきっかけとなるでしょう。
とくに事業承継や企業価値評価といった専門性の高い分野では、資格を持つことで周囲からの信頼も高まり、より重要な案件を任されるようになります。
専門知識の習得につながる
資格の勉強をしていくうちに身につく専門知識は、実務で武器となります。例えば企業価値評価では、財務諸表の読み方から業界特有の評価手法まで、体系的に学ぶことができます。
税理士や公認会計士の資格では、実際の案件でよく直面する税務や会計の課題に対する理解が深まります。
とくに実務経験が浅い方は、資格の勉強を通じて業界の全体像を把握できる点が大きな強みです。ベテランの方でも、最新の法改正や制度変更への対応など、知識のアップデートにつながります。
信頼性の向上につながる
経営者の人生を左右するM&Aだからこそ、アドバイザーには高い専門性と確かな実力が求められます。資格を持っていることは、クライアントの期待に応える一つの証となります。
法務や税務の知識を持つことで、リスクの早期発見や適切な対応が可能になり、案件をスムーズに進められます。
また、資格を持つことで社内外からの評価も変わります。とくに中小企業の経営者は、専門家としての意見を重視する傾向があり、より踏み込んだアドバイスができるようになるでしょう。
キャリアアップの機会につながる
M&A業界は実力主義です。資格取得は、その実力を客観的に示す良い機会となります。社内では、より複雑な案件や大型案件を任されるようになり、結果として収入アップにもつながるでしょう。
転職市場でも、資格保有者への需要は高まる一方です。とくに事業承継支援の分野では、税理士や中小企業診断士といった資格が重宝されます。独立やコンサルティング会社の起業を考えている方にとっても、資格は大きな武器となるでしょう。
M&A業界特化型転職エージェントのユニークボックスでは、M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーがあなたの転職を支援します。お気軽にご相談ください。
\6つの質問に回答/
無料で転職相談してみるM&A業界でおすすめの民間資格5選
M&A業界での活躍には、専門的なスキルと最新の知見が不可欠です。資格を取得すれば、専門性を客観的に示し、クライアントや上司からの信頼獲得にもつながります。
さらに、資格取得を通じて法務・税務・会計や事業承継に関する実務ノウハウを身につければ、提案の質や交渉力も強化できます。
ここでは、M&A分野で注目を集める5つの民間資格を紹介し、それぞれの特徴やメリット・試験概要を紹介します。
【おすすめ民間資格5選】
資格名 | 特徴 | 難易度 |
JMAA認定M&Aアドバイザー | 業界特化型 | 講座修了審査制 |
M&Aスペシャリスト | 中小M&A実務特化 | 高め(論述含む) |
M&Aエキスパート認定資格 | 段階制認定(ベーシック~プロフェッショナル) | 初級~最上級まで幅広い |
事業承継士 | 承継重視、専門家ネットワーク | やや高め |
簿記2級 | 財務分析必須スキル、基礎経理力 | 高難易度(10~30%合格率) |
JMAA認定M&Aアドバイザー
JMAA認定M&Aアドバイザーは、日本M&Aアドバイザー協会が認定する、業界特化型の民間資格です。
この資格は、業界で長く課題とされてきた「M&Aアドバイザーの質の保証」に応える資格として生まれました。M&A実務に必要な企業価値評価や事業承継のノウハウ、デューデリジェンスの実践知識まで、幅広く学ぶことができます。
JMAA認定M&Aアドバイザーを取得するメリット
JMAA認定M&Aアドバイザー資格を持つことで、三つのメリットが得られます。
一つ目は、M&A実務で必要な知識を体系的に習得できること。企業評価から交渉術まで、実践的なスキルが身につきます。
二つ目は、協会認定の資格ということで、顧客からの信頼獲得がスムーズになります。とくに中小企業の経営者は、資格の有無を重視する傾向があります。
三つ目は、協会主催の研修や情報交換会への参加機会が得られ、業界内でのネットワーク作りに役立ちます。実務経験豊富な会員との交流は、キャリアアップの大きな助けとなるでしょう。
JMAA認定M&Aアドバイザーの難易度と勉強時間
JMAA認定M&Aアドバイザーは、日本M&Aアドバイザー協会が認定する専門資格です。他の資格と異なり、試験形式ではなく、講座の受講と審査によって認定される点が特徴です。
資格取得の難易度は、試験形式ではないため一概に評価することは難しいとされています。ただし、M&Aの専門知識や事業承継に関する理解が重視され、講座内容をしっかりと習得することが求められます。
資格取得には、講座受講に加え、自主学習の時間が必要です。講座の内容や形式によって必要な時間は異なります。
難易度については、具体的な合格率は公表されていません。ただし、講座で基礎知識を習得できることから、合格率は比較的高いと考えられています。
M&A実務に役立つ知識習得を目指し、自分のペースで計画的に学習を進めることが重要です。
M&Aスペシャリスト資格
M&Aスペシャリストは、日本経営管理協会(JIMA)が認定する専門資格です。中小企業のM&A支援に必要な実務能力を証明するもので、とくに事業承継に関する専門知識の習得を重視しています。
経済産業省が推進する中小M&A推進計画とも連動しており、今後ますます需要が高まる資格といえます。
M&Aスペシャリストの特徴は、中小企業のM&A実務に直結した知識を体系的に学べる点です。買収事業価値の評価から具体的な手続き、さらには買収後の事業統合(PMI)まで、実践的な内容を網羅しています。
M&Aスペシャリスト資格を取得するメリット
M&Aスペシャリスト資格の取得には、3つのメリットがあります。
- 第一線で活躍する専門家から直接指導が受けられる
- 継続的な学習機会が得られる
- 実務経験を積むチャンスの拡大
M&Aスペシャリスト資格を取得すると、最前線で活躍する弁護士や公認会計士などの専門家から直接指導を受けられます最前線で活躍する弁護士や公認会計士などの専門家から直接指導を受けられます。これにより、理論にとどまらず実務に即した知識が身につくため、現場で即戦力となるスキルを習得できるでしょう。
さらに、資格保有者には協会主催の継続セミナーへの参加機会が与えられ、最新のトレンドや手法を学び続けることが可能です。業界動向に合わせて知識やスキルをアップデートすれば、長期的なキャリア形成にも有利に働きます。
また、資格取得者は協会関連のコンサルティングプロジェクトに参加し、実践的な業務経験を積むことができます。これらの経験は、自身の専門性向上だけでなく、新たな人脈構築やビジネス機会の拡大にもつながります。
M&Aスペシャリスト資格の難易度と勉強時間
M&Aスペシャリスト資格は、合格基準が60%以上とされているものの、難易度は高いとされています。
支援講座の受講により効率的に知識を学べるものの、出題範囲が広く、試験は論述問題を含むため、深い理解が求められます。
試験内容には、M&A実務・職業倫理・法務・会計・税務などが含まれており、実務に即した幅広い知識が必要です。
試験時間は一般知識と論述問題合わせて120分で、ガイダンスも含めると合計135分です。
合格するためには十分な準備と理解が求められ、勉強時間は個人の経験や理解度により異なりますが、広範囲の内容をカバーするためには多くの勉強時間が必要です。
M&Aエキスパート認定資格
M&Aエキスパート認定資格は、一般社団法人金融財政事情研究会と日本M&Aセンターが運営する資格制度で、中小企業の事業承継とM&A(合併・買収)のプロフェッショナルを養成することを目的としています。
この資格は、事業承継とM&Aの適切かつ円滑な支援を行う人材を育成し、日本経済全体の持続的成長を目指しています。取得者数は2020年9月時点で30,000名を超え、多くの金融機関や企業が推奨している資格です。
出典:日本M&AセンターHD
M&Aエキスパート認定資格は、以下の4つの種類があります。
M&Aエキスパート認定資格を取得するメリット
資格を取得するメリットは以下のとおりです。
- M&Aや事業承継に関する専門知識を持つことを証明できる
- 事業承継やM&A分野に携わる職業への転職や昇進において強力な武器となる
- 中小企業のオーナーからの信頼を獲得しやすい
- 資格取得者同士の交流イベントがあり、業界内のネットワークを拡大する機会がある
M&Aエキスパート認定資格の難易度と勉強時間
M&Aエキスパート認定資格の、各資格ごとの難易度や勉強時間は以下のとおりです。
【金融業務3級 事業承継・M&Aコース(認定試験「事業承継・M&Aベーシック」)】
項目 | 内容 |
難易度 | 初・中級レベル(事業承継・M&A分野を初めて学ぶ方から、若手~中堅の金融機関担当者を想定) |
試験対象者 | 金融機関の渉外・融資担当者、公認会計士、税理士など※受験資格は特になし |
試験範囲 | 1.事業承継の事前準備等 2.親族内・従業員承継の実務 3.社外承継(M&A)の実務 4.コンサルティングの実務 |
試験形式 | CBT(コンピュータベーステスト)方式、四択式50問 |
試験時間 | 100分 |
合格基準 | 100点満点中60点以上 |
実施時期 | 通年(予約状況に応じて、全国のテストセンターで受験可能) |
受験手数料 | 5,500円(税込) |
合格発表 | 試験終了後、即時スコア発行。 合格者は翌日以降マイページより認定証(PDF)発行可能 |
学習目安時間 | 目安:2ヶ月程度 |
【金融業務2級 事業承継・M&Aコース(認定試験「事業承継・M&Aエキスパート」)】
項目 | 内容 |
難易度 | 中級レベル(基礎知識を習得済みの方が、より専門的な法務・会計・税務知識を身に付ける段階) |
試験対象者 | 金融機関の渉外・融資担当者、公認会計士、税理士など※受験資格は特になし |
試験範囲 | 1.事業承継関連税制等 2.事業承継関連法制等 3.M&A基礎知識・関連会計 4.M&A関連法制等5.総合問題 |
試験形式 | CBT方式四答択一式30問+総合問題10題 |
試験時間 | 120分 |
合格基準 | 100点満点中70点以上 |
実施時期 | 通年(予約状況により全国テストセンターで受験可能) |
受験手数料 | 7,700円(税込) |
合格発表 | 試験終了後、即時スコア発行。 合格者は翌日以降マイページにて認定証(PDF)発行可能 |
学習目安時間 | 目安:3ヶ月程度 |
【事業承継シニアエキスパート(Web講義+CBT認定試験)】
項目 | 内容 |
難易度 | 上級レベル(実務経験・中級程度の知識を前提とした高度なノウハウ習得) |
対象者 | 以下のいずれかを満たす者 ・「事業承継・M&Aエキスパート(2級相当)」認定者 ・弁護士、税理士、公認会計士、司法書士、中小企業診断士 ・法人営業経験1年以上(金融機関等在籍中) ・会計事務所での1年以上の実務経験(在籍中) ・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 |
講座カリキュラム | 実務的/戦略的な事業承継支援ノウハウ 1. 中小企業の事業承継総論、税・法制改正、評価・相続・贈与税制 2. コンサルティングプロセス、事業承継税制、承継手法、承継派生取引 3. ケーススタディ(自社株対策、意思決定支援、転廃業など) |
講義形式 | Web講義(オンデマンド動画配信) ・利用開始日より13週間(91日間)視聴可能 ・全講義修了が受験前提条件 |
認定試験形式 | CBT方式(予約制、全国のテストセンターで通年実施) |
合格発表 | 受験終了後にスコア報告、合格者には「事業承継シニアエキスパート」称号付与 |
費用 | Web講義受講料:132,000円(税込) (日本M&Aセンター提携金融機関・理事会員は92,400円(税込)) 認定試験受験料:11,000円(税込) |
学習目安時間 | Web講義合計:約500ページ相当の資料講義視聴+復習 |
【M&Aシニアエキスパート(Web講義+CBT認定試験)】
項目 | 内容 |
難易度 | 最上級(高度なM&A実務経験・専門知識を前提としたプロフェッショナルレベル) |
受講・受験資格 | 以下いずれかを満たす者 ・事業承継・M&Aエキスパート認定者/事業承継シニアエキスパート認定者 ・弁護士、税理士、公認会計士、司法書士 ・金融機関等で法人営業経験5年以上(在籍中) ・会計事務所等で5年以上の実務経験(在籍中) ・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 ・一般社団法人M&A仲介協会会員役職員 |
講座カリキュラム | ・中小/零細企業のM&A実務全般 ・M&A総論、案件化、買い手探索と交渉、PMI ・M&A法務 ・税務 ・会計(企業評価、組織再編、トラブル防止策) ・成功/失敗事例を通じた実践的ノウハウ |
講義形式 | Web講義(オンデマンド動画) ・利用開始日より13週間(91日間)視聴可能 ・全講義修了(修了証発行)後に認定試験申込可 |
認定試験形式 | CBT方式(テストセンター受験、通年申込・実施) |
試験時間・形式 | 四答択一式50問/120分/100点満点中60点以上で合格 |
実施時期 | 通年(テストセンター予約状況による) |
費用 | Web講義受講料:132,000円(税込) (M&A仲介協会会員、日本M&Aセンター提携金融機関・理事会員:92,400円(税込)、BATONZパートナープログラム会員:105,600円(税込)) CBT試験受験料:11,000円(税込) |
学習目安時間 | Web講義資料約500ページ相当 |
出典:M&Aシニアエキスパート
事業承継士
事業承継士は、会社の理念や儲かる仕組み・ノウハウ・企業文化を後継者に承継し、さらに成長を図るための支援を行う資格です。
この資格は「社長個人の相続」と「会社の事業承継」の両分野を融合させたもので、弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士など、各専門家をコーディネートして全体最適を目指すことが可能です。
事業承継士を取得するメリット
事業承継士を取得するメリットは、以下のとおりです。
- 専門家としての肩書き:事業承継士を名乗ることができ、名刺や会社案内に資格ロゴを掲載可能
- 資料の利用:講座で配布された資料をワードやエクセルで自由に編集・使用可能
- <最新情報:事業承継に関する法律や税務などの最新情報が得られる/li>
- セミナー・研修会の参加:協会や事業承継センター株式会社が主催するセミナーに会員価格で参加可能
- 業務機会の優先提供:事業承継支援の業務が発生した際に優先的に声がかかる
- 後継者塾の講師機会:後継者塾の講師や各種セミナーの講師として活動する機会がある
事業承継士の難易度と勉強時間
出典:一般社団法人事業継承協会
事業承継士の資格は、事業承継に関する幅広い知識を持つことが求められ、取得するためには認定講座を受講し、認定試験に合格する必要があります。
資格取得は「難易度が高い」とされていますが、講座を修了し、テキストに基づいて学習を進めていれば合格できるでしょう。
認定試験は選択形式と記述形式の混合で、講座内で使用したテキストの内容が試験範囲となるため、講座で学んだ内容をしっかりと理解することが重要です。
- 合格基準:認定試験の合格基準は60点以上
- 合格率:正確な合格率は公表されていない
事業承継士資格取得講座は全5日間、1日6時間の講義(合計30時間)で構成されており、出席率75%以上が必要です。勉強時間としては、講座以外にテキストの復習や問題集の演習など、少なくとも30〜50時間程度の個別学習が推奨されます。
- 講座受講時間:30時間
- 追加の学習時間:約30〜50時間(テキストの復習と試験対策)
出典:事業継承士資格取得講座
簿記2級
簿記2級は、企業の経営管理や会計実務において、重要な基礎知識を証明する資格です。簿記2級の資格では、高度な商業簿記と工業簿記(原価計算を含む)を学び、財務諸表から企業の経営内容を正確に把握できる能力を身につけます。
そのため、経理・財務部門はもちろんのこと、他のビジネス業務においても活かせる実践的な知識が得られます。
【簿記2級のレベル】
簿記2級は企業から最も求められる資格の一つで、経営管理に役立つ知識を習得します。具体的には、以下のようなスキルが求められます。
- 高度な商業簿記:売掛金・買掛金、仕訳の記録、試算表の作成、財務諸表の作成など
- 工業簿記(原価計算):製造業のための原価計算、製造原価報告書の作成、間接費の配賦など
この知識を習得することで、企業の財務諸表を読み解き、財務状況や経営内容を把握し、適切に分析・処理することができるようになります。
出典:商工会議所の検定試験
簿記2級を取得するメリット
簿記2級を取得することで、以下のようなメリットがあります。
①M&A業界での評価向上
簿記2級は、M&A仲介会社が入社後に取得必須とすることが多い資格であり、事前に取得しておくことでM&A仲介業界への強い関心を示すアピールとなります。
簿記2級の知識があれば、M&Aプロジェクトにおいて企業の財務状況を正確に把握し、バランスシートや損益計算書を読み解く能力が高まります。これにより、クライアント企業の財務状態を適切に評価することができるため、実務で役立つスキルを証明できます。
②キャリアアップに有利
簿記2級は、管理職や経営層を目指す際にも有利です。簿記の知識は、業務改善や経営判断に役立ち、企業の経営管理をサポートする力となります。
また、簿記2級は将来の上位資格(公認会計士や税理士など)へのステップとしても重要です。これらの上位資格を目指す際の基礎固めとして、簿記2級の知識が役立ちます。
簿記2級の難易度と勉強時間
簿記2級は、経営管理に役立つ高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を学ぶ資格で、企業から求められる資格の一つです。しかしその難易度は非常に高く、多くの受験者にとって挑戦的な試験となっています。
【合格率】
簿記2級の合格率は、平均して10%から30%の範囲で推移しており、試験によって大きく変動します。例えば、2023年11月の試験では合格率が11.9%、2023年6月の試験では21.1%でした。
試験の難易度や出題傾向により、合格率が大きく変動する点が特徴です。
【試験の構成】
簿記2級の試験は商業簿記と工業簿記の2科目で構成され、商業簿記が60点、工業簿記が40点の配点です。合格基準は100点満点中70点以上であり、とくに工業簿記は製造業に関連する知識が必要で、多くの受験者が苦戦する部分です。
【勉強時間の目安】
簿記2級に合格するために必要な勉強時間は、受験者の経験や学習方法によって異なります。
- 簿記3級の知識を持っている場合:約250〜350時間
- 簿記未経験者の場合:約350〜500時間
出典:資格の学校TAC|簿記2級の独学って難しいの?必要な勉強時間の目安と4つのポイント
M&A業界特化型転職エージェントのユニークボックスでは、M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーがあなたの転職を支援します。お気軽にご相談ください。
無料で転職相談してみるM&A業界でおすすめのに国家資格8選
M&A業界では、多岐にわたるスキルと専門知識が求められます。買収対象企業の財務分析や、法的手続き、さらには従業員の労務管理まで、案件ごとに必要な分野はさまざまです。
こうした中で、国家資格を取得することは、専門的な知識を深めるだけでなく、クライアントや取引先からの信頼を得るための大きな武器になります。
ここでは、M&A業界で役立つとされる8つの国家資格について、詳しく解説します。
資格名 | 特徴 | 難易度 |
ファイナンシャルプランナー (FP) | 資産評価やリスク管理を通じて、M&A戦略の立案や事業承継に強みを発揮 | 10%~80%(級別) |
公認会計士 | 企業価値評価や財務リスク管理の専門家として、M&A案件に不可欠 | 約7.6%(最終) |
税理士 | 税務面でのリスク軽減や最適な取引スキーム提案が可能 | 科目合格制(10%前後) |
中小企業診断士 | 経営改善や統合プロセスの支援で、M&A後の経営統合(PMI)をサポート | 1次:27%2次:約20% |
宅地建物取引士 | 不動産関連M&A案件で、不動産評価や契約における法的リスク軽減を提供 | 約15% |
弁護士 | 契約書作成や訴訟対応など、M&A全般にわたる法的アドバイザーとして活躍 | 30~40%(司法試験) |
司法書士 | M&Aの登記手続きや法的書類作成で専門性を発揮 | 約4~5% |
社会保険労務士 | M&A後の労務管理や従業員トラブル予防、人事制度の統一で活躍 | 約6~7% |
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー(FP)は、個人や家族のライフプランにもとづいて資金計画や資産設計を行う専門家としての資格です。
税金・保険・年金・不動産などの幅広い知識を活かし、クライアントの将来の夢や目標を実現するためのサポートができます。
【FPが対応する相談テーマ】
相談テーマ | 具体的内容 |
家計管理 | 家計管理、将来の貯蓄方法など |
老後の生活設計 | 老後の生活資金、生活設計の方法など |
教育資金 | 教育資金の準備、奨学金の活用など |
年金・社会保険 | 公的年金制度、社会保障制度など |
住宅資金 | 住宅ローン、繰上げ返済、借換え方法など |
資産運用 | 退職金の運用、投資信託など |
税制 | 医療費控除、所得税の仕組みなど |
保険 | 死亡保障・医療保障の考え方など |
介護・医療費 | 介護費用、介護保険制度の仕組みなど |
相続・贈与 | 遺言・相続準備、資金贈与など |
出典:日本FP協会
ファイナンシャルプランナー資格のメリット
FP資格を取得するメリットは以下のとおりです。
- 資産評価・リスク管理などの金融知識をM&Aの戦略立案に活用できる
- 法人オーナーや経営者とのコミュニケーションで、相続や事業承継の相談に対応可能
- 企業再編後の財務改善策や資産再構築の提案力強化につながる
ファイナンシャルプランナーの知識は、個人資産だけでなく、企業オーナーや経営者を顧客とするM&A業界にも大いに役立ちます。
資産評価やリスク分析、保険を活用したリスクヘッジなどの金融知識は、M&A戦略の立案段階から有効で、案件成立後も財務改善や資産再配分の提案に生かせます。
また、M&Aを伴う事業承継では、後継者問題やオーナー一族の相続対策が重要になります。
FP資格を持つことで、経営者が抱える相続・贈与や保険活用など、資産管理に関わる幅広いニーズに応えられるため、クライアントからの信頼獲得や付加価値提供につながるでしょう。
ファイナンシャルプランナーの難易度と勉強時間
FP試験の難易度と勉強時間は、以下のとおりです。
資格 | 合格率 | 勉強時間の目安 |
FP3級 | 40%〜80%程度 | 80~150時間 |
FP2級 | 20%〜60%程度 | 150〜300時間 |
FP1級 | 10%程度 | 300〜600時間 |
【3 級ファイナンシャル・プランニング技能検定 (資産設計提案業務) 】
項目 | 内容 |
試験概要 | ・厚生労働大臣指定の国家検定(3級FP技能検定) ・日本FP協会が学科/実技試験を実施(実技は「資産設計提案業務」) ・学科/実技両方合格で3級FP技能士取得 ・一部合格者には一部合格証発行(一部合格による免除制度有、期限付) ・試験は原則CBT方式で実施 |
試験時間・出題形式・合格基準 | ▶学科試験:90分、60問、多肢選択式、36点以上/60点満点で合格 ▶実技試験:60分、20問、多肢選択式、60点以上/100点満点で合格 |
試験範囲・科目 | ▶学科試験範囲 A.ライフプランニングと資金計画 B.リスク管理 C.金融資産運用 D.タックスプランニング E.不動産 F.相続・事業承継 ▶実技試験範囲(資産設計提案業務) 関連業法・倫理、FPプロセス、ファイナンス状況分析・評価等 |
受検資格 | FP業務に従事している、または従事予定の者(資産設計・運用・管理、相談やコンサル業務に関わる人) |
受検手数料 | 学科・実技両方:8,000円(非課税) 学科のみ:4,000円(非課税) 実技のみ:4,000円(非課税) ※支払手数料は受検者負担 |
【2級ファイナンシャル・プランニング技能検定(資産設計提案業務)】
項目 | 内容 |
試験概要 | ・国家検定(厚生労働大臣指定) ・日本FP協会が実施 ・学科試験/実技試験を同日に実施 ・合格者には合格証書、一部合格者には一部合格証を発行 |
出題形式 | 【学科試験】マークシート方式60問(120分) 【実技試験】記述式40問(90分) |
合格基準 | 【学科試験】60点満点中36点以上 【実技試験】100点満点中60点以上 |
試験範囲・科目 | 【学科試験】 A.ライフプランニングと資金計画 B.リスク管理 C.金融資産運用 D.タックスプランニング E.不動産 F.相続・事業承継 【実技試験】 資産設計提案業務(関連業法・倫理、FPプロセス、分析・評価、プランの検討・提示) |
受検資格 | 以下いずれか 1)AFP認定研修修了者 2)3級FP技能検定合格者又は金融渉外技能審査3級合格者 3)FP業務実務経験2年以上の者 |
受検手数料 | 【学科・実技両方】11,700円 【学科のみ】5,700円 【実技のみ】6,000円 ※いずれも非課税、支払手数料は受検者負担 |
【1級ファイナンシャル・プランニング技能検定 実技試験(資産設計提案業務)】
項目 | 内容 |
試験概要 | ・厚生労働大臣指定の国家検定(1級FP技能検定) ・日本FP協会が実技試験(資産設計提案業務)を実施 ・合格者には「1級FP技能士(資産設計提案業務)」合格証書が発行 |
出題形式 | 筆記試験(記述式)2題(20問) ※「択一・語群選択・空欄記入・論述」を含む記述式 |
合格基準 | 100点満点中60点以上 |
試験範囲・科目 | 資産設計提案業務全般(関連業法・倫理、顧客データ収集・目標設定、ファイナンス状況分析、プラン検討・提示) ※1級学科試験範囲に準ずる |
受検資格 | 下記いずれかに該当する者 1)CFP®認定者 2)CFP®資格審査試験全課目合格(未認定)者 3)1級FP技能検定学科一部合格者(金融財政事情研究会実施) 4)1級FP技能検定合格者 5)FP養成コース修了かつ1年以上の実務経験者(金融財政事情研究会実施) |
受検手数料 | 20,000円(非課税) ※支払手数料は受検者負担 |
公認会計士
公認会計士は、企業の財務諸表監査を行う国家資格で、会計・財務の専門家としての役割を担っています。
また、企業の経済活動の公正さを守ることで、社会の健全な発展に貢献します。
監査業務以外にも、コンサルティング・組織内会計士・税務・株式公開支援・M&Aのサポートなど、幅広い業務に携わることが可能です。
【M&A業界での公認会計士の役割】
- 戦略策定支援:買収対象や取引スキームの検討、M&A目的の明確化
- 企業価値評価:財務諸表・キャッシュフロー分析を通じた適正な買収価格の算定
- 財務デューデリジェンス(DD):簿外債務や財務リスクの洗い出し、収益性やキャッシュフロー見通しの検証
- 税務アドバイス:M&A関連の税務リスク評価・最適な取引スキーム提案、税務DDによる事後リスク防止
- PMI(統合後支援):経営・業務プロセス統合計画の立案と実行支援
公認会計士の資格を取得するメリット
公認会計士の資格を取得するメリットは、以下のとおりです。
①専門的な知識とスキル
公認会計士は財務や税務に関する深い知識を持っており、これにより取引がスムーズに進むだけでなく、クライアントからの信頼も得られます。
②キャリアアップの機会
M&A業界は成長が期待される分野であり、公認会計士としての経験を積むことで、キャリアアップや高収入を見込めます。また、幅広い案件に関わることで市場価値が向上します。
③ネットワーク構築
M&A業界では、多くの専門家(弁護士、税理士など)と連携する機会が多く、人脈を広げることができます。このネットワークは将来的なキャリアに大きな影響を与えます。
公認会計士の活躍の場
公認会計士には、以下のような多様なキャリアパスがあります。
- 監査法人での監査業務
- 株式公開支援
- 経営コンサルティング
- 独立開業
- ビジネスアドバイザリー
- 組織内会計士として企業で活躍
このように、公認会計士は専門性を活かしてさまざまな分野で活動できるため、幅広いキャリア選択が可能です。
また、経済社会のあらゆる場面で求められる専門性を持つことから、その職域は国内外で無限に広がっています。公認会計士としての資格取得は、ビジネスにおける信頼性の証であり、大きなキャリアの強みになります。
出典:日本公認会計士協会
公認会計士の難易度と勉強時間
公認会計士の資格は、日本の三大国家資格(弁護士、医師、公認会計士)の1つであり、非常に難易度が高いとされています。
令和5年度の最終合格率は約7.6%と、願書を出した人の中で1割にも満たない水準であり、非常に厳しい競争率になっています。
公認会計士試験は「短答式試験」と「論文式試験」の2段階選抜。まず短答式試験を突破(令和5年度は約2,103人合格)したうえで、約4,000人が論文式試験を受験。
そのうち、約1,500人が最終的に合格しており、段階を踏むごとに絞り込まれていきます。
合格者の平均年齢は24.5歳と比較的若く、学生や受験専念者が多いため、膨大な学習時間を確保しやすい環境が前提になるケースが多いことを示しています。
合格には財務会計・管理会計・監査論・企業法・税法など幅広い科目を総合的かつ高水準でマスターする必要があり、40%未満の科目があると不合格になるため、バランスの良い学力が求められます。
また、公認会計士に必要な勉強時間は、約4,000時間とされています。
出典:金融庁|令和5年公認会計士試験の合格発表の概要について
税理士
税理士は、税務・会計の専門家として、納税者や企業の税務申告・相談・書類作成などを行い、公正な税制運用と国民の暮らしやすさに寄与する存在です。
健康面で医師に頼るように、税務面では税理士に「事前相談」することで適正な納税や節税が可能になります。
また、税理士は守秘義務を負い、信頼関係を重視。さらに、中小企業支援、成年後見制度への参画、租税教育の推進、行政機関への提言など多方面で活躍します。
社会公共的使命をもって、税・会計の専門知識を活かし、デジタル化や経営改善支援、外部監査人、政治資金監査人、会計参与といったさまざまな役割を果たし、時代のニーズに応えるべく挑戦し続ける専門職です。
税理士の資格を取得するメリット
税理士の資格を取得するメリットは、以下のとおりです。
- M&A取引で必須となる税務面のリスク分析や評価ができる
- 税制上の影響を考慮した正確な企業価値算定が可能になり、価格交渉や意思決定に有利
- 専門資格が信用補強となり、顧客・取引先から高い評価と案件獲得の機会を得やすい
- 税務アドバイザー、コンサルタントとしての役割が広がり、上位ポジションや専門的領域への進出がしやすくなる
税理士の難易度と勉強時間
税理士は合格率が低く、科目ごとの合格率は10〜20%程度で、5科目合格までに長い年月がかかることが多いです。
会計学(簿記論・財務諸表論)+税法3科目(所得税法または法人税法が必須)の計5科目が必要で、膨大な専門知識が求められます。
税法科目受験には、学歴・資格・職歴等の受験資格条件が必要な場合があります。
勉強時間の目安は、一般的に4,000時間程度です。専門知識がある受験者(簿記上級合格者・法学部出身・実務経験者)は短縮可能ですが、初学者や独学者は6,000時間以上かかる場合もあります。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営上の問題点を見つけ出し、改善策や成長戦略を提案する専門家です。
経済産業大臣が登録する国家資格であり、「中小企業支援法」にもとづいて運用されています。診断士は、企業の強みや弱みを分析し、経営計画の策定や実行支援、さらには経営環境の変化に応じた助言を行います。
ただアドバイスを行うだけでなく、行政・金融機関との仲介役や、中小企業施策の有効活用をサポートする役割も期待されています。
こうした背景から、幅広い経営知識に加え、柔軟な思考力やコミュニケーション能力が求められます。中小企業診断士は、中小企業の成長や活性化を通じ、地域経済の発展や雇用促進にも貢献する重要な存在です。
中小企業診断士の資格を取得するメリット
中小企業診断士の資格を取得するメリットは、以下のとおりです。
- 経営戦略・マーケティング・財務・法務など幅広い経営知識を習得でき、M&A案件の分析や提案の質が向上する
- 国家資格である中小企業診断士を取得することで、クライアントや取引先からの信頼を得やすくなり、交渉や提案がスムーズになる
- M&A成立後の経営改善や統合プロセスで、中小企業診断士としての経営支援スキルが活かせる
- M&Aに必要な法律や税務などの知識も学べるため、取引全般において総合的なアドバイスが可能になる
中小企業診断士の難易度と勉強時間
中小企業診断士の令和6年度の1次試験の合格率は、約27%でした。2次試験は上位約20%が相対評価で合格します。
試験に合格するには最低でも1,000時間以上勉強する必要があるため、難易度が高い資格です。
【難易度・合格率・評価基準】
項目 | 内容 |
受験資格 | 年齢・学歴・性別不問。誰でも受験可能 |
試験構成 | 1次試験:7科目(マーク式・絶対評価)2次試験:筆記(ケース分析)、口述試験(相対評価) |
合格基準 | 1次試験:総得点60%以上&全科目40%以上2次試験:相対評価で上位約20%が合格(目安) |
合格率 | 1次試験:例年約20%前後2次試験:例年約20%前後 |
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、不動産の売買・賃貸などの取引を公正かつ安全に行うための国家資格者です。法律で定められた「5人に1人以上」の設置義務があり、不動産業を営む事務所には必ず有資格者が必要となります。
試験合格だけでは宅地建物取引士を名乗れず、合格後に2年以上の実務経験、または実務講習の修了を経て、登録することで初めて有資格者となります。
有資格者は、不動産取引において重要事項の説明や重要事項説明書面への記名・押印、そして契約内容を明記した37条書面への記名・押印といった「独占業務」を行える点が大きな特徴です。
この独占業務によって、不動産取引における買主・借主の利益保護が図られ、安心・安全な取引環境が整備されるのです。
宅地建物取引士を取得するメリット
宅地建物取引士を取得するメリットは、以下のとおりです。
- M&Aにおける不動産評価や取引のアドバイスに役立つ
- 宅建士の資格保有者として、クライアントや取引先からの信頼を得やすい
- 特に不動産関連のM&A案件で、資格がキャリアアップの武器になる
- 不動産関連法規を熟知しているため、M&A取引における法的リスクを軽減
- 契約書作成や交渉において、法的な視点からのサポートが可能
宅地建物取引士の難易度と勉強時間
宅地建物取引士試験は誰でも受験可能ですが、合格率は15%前後と高い難易度です。
また、出題範囲が広く、法律用語に慣れる必要があり、法令改正が発生するため最新情報の確認が必須です。
必要な勉強時間は、一般的に400時間程度といわれています。予備校などに通わずに独学で学ぶ場合は、600時間ほど必要でしょう。
【試験概要】
項目 | 内容 |
試験形式 | 筆記試験(四肢択一式・50問) |
受験資格 | 日本国内に居住する者なら誰でも受験可能 |
試験科目の主な内容 | 権利関係、法令上の制限、税法、宅建業法など |
試験基準日 | 出題法令は試験年度の4月1日現在施行のもの |
合格基準 | 例年70%以上の得点(約35点以上/50点満点) |
合格率 | 平均15%前後 |
出典:試験実施概況
弁護士
弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義の実現を使命とする法律の専門家です(弁護士法第1条)。主な業務は、法廷活動・紛争予防・法的アドバイス・人権擁護・立法支援など多岐にわたり、社会生活のあらゆる分野で活動します。
【民事事件】
民事事件は、金銭の貸借・不動産の賃貸借・売買・離婚・相続・労働問題など、日常生活のトラブルを扱います。弁護士は、依頼者の利益を守るために、法律相談・和解交渉・訴訟手続き・行政への不服申立てなどの業務を行います。
【刑事事件】
刑事事件では、被疑者・被告人の弁護人として、無罪の可能性を追求し、えん罪の防止や公正な裁判手続きを保障します。不当に重い刑罰や違法な捜査が行われないよう、証拠提出や主張を通じて被告人の権利を守ります。
出典:日本弁護士連合会
弁護士の資格を取得するメリット
弁護士の資格を取得するメリットは、以下のとおりです。
- 法律の体系的な知識が得られ、契約書の作成や法的リスク管理が可能
- M&Aの各段階で発生するリスクを正確に分析し、予防策を講じる
- 紛争解決や契約交渉において、法的サポートが直接提供できる
- クライアントの代理として交渉、訴訟、契約締結が可能
- 法律や規制の変化に迅速に対応し、最新情報をもとにした適切な助言が可能
- 弁護士として業界内外の専門家や企業経営者との関係が築ける
弁護士の難易度と勉強時間
弁護士の合格率は、2018年〜2023年では、30〜40%台です。
必要な勉強時間は約8,000〜10,000時間と、約4〜5年かかるため、計画的に学習する必要があります。
試験の範囲は、憲法・民法・刑法・商法・行政法・民事訴訟法・刑事訴訟法など幅広いのが特徴です。
また、受験回数の制限があり、司法試験は5回までとなっています。
出典:司法試験合格者の状況
司法書士
司法書士とは、不動産登記や会社登記などの法的手続きや、裁判所・法務局への書類作成を行う法律専門職です。
主な業務には、不動産売買における所有権移転の登記手続き、会社設立時の法人登記、供託手続きの代理などがあります。
法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所で訴額140万円以下の訴訟や調停の代理も行えます。
さらに、成年後見人や破産管財人としての役割も担い、財産管理や法律上のトラブル解決を支援します。司法書士は、国民の権利擁護と公正な社会の実現を目指し、法令を遵守しながら業務を行う義務があります。
司法書士の業務は、司法書士法に基づき厳格に規定されており、無資格者が業務を行うと法律違反となります。不動産取引や相続問題、会社設立時の手続きなど、法律に関するさまざまな場面で、司法書士は信頼できるパートナーとしてサポートします。
出典:日本司法書士会連合会
司法書士の資格を取得するメリット
司法書士の資格を取得するメリットは、以下のとおりです。
- 不動産登記や企業の法人登記などの専門知識を活かして、M&Aの合併・買収手続きを効率化
- 大規模なM&A取引において、法的リスクの回避や交渉力の強化に貢献
- 登記業務だけでなく、契約書の作成、法的アドバイス、リスク評価など、M&Aに必要な多様な業務に対応
- 取引の際に発生する契約や訴訟リスクの予防・解決に対処できる
- 自社内の法務部門担当者としての採用率や給与水準が上がる可能性
司法書士の難易度と勉強時間
司法書士は高い法的知識と実務スキルが求められる国家資格です。
合格率は例年 4%〜5%程度 と低く、国家資格の中でも難易度は非常に高いとされています。
司法書士試験の主な科目は以下のとおり幅広い知識が必要で、3,000時間以上の勉強時間が必要です。
- 憲法
- 民法
- 商法(会社法含む)
- 刑法
- 不動産登記法
- 商業登記法
- 供託法
- 民事訴訟法
- 民事執行法・民事保全法
- 司法書士法
- その他関係法令
合格に必要な得点率は75%以上ですが、相対評価のため年度ごとに変動し、80%近く必要な場合もあります。
社会保険労務士
社会保険労務士(社労士)は、労働法や社会保険に関する専門家として、企業と労働者の橋渡し役を担う国家資格者です。
社労士の使命は、「労働および社会保険に関する法令の適切な実施を促進し、企業の健全な発展と労働者の福祉向上に寄与すること」です。
【主な業務内容】
- 労働社会保険手続業務
雇用保険、健康保険、年金などの社会保険手続きを行う - 労務管理の相談・指導業務
従業員の雇用管理や就業規則の作成・改定など、企業の人事労務管理を支援し、良好な労使関係の構築をサポート - 年金相談業務
公的年金制度に関する相談や年金請求手続きをサポートし、個人が受給できる年金の最適化を支援 - 紛争解決手続代理業務
労使間のトラブルを裁判所を通さず「あっせん」により解決するための代理人としても活動 - 補佐人業務
弁護士と協力し、訴訟の補佐人として法的支援を提供することで、企業や個人の法的課題解決を支える
社会労務士の資格を取得するメリット
社会労務士の資格を取得するメリットは、以下のとおりです。
- M&Aに伴う従業員の雇用契約変更、社会保険の加入手続きなどの支援が可能
- M&A後の従業員トラブル(労働条件の変更、解雇、退職勧奨など)を予防できる。
- 人事制度の再構築、給与体系の統一、労務管理体制の強化が可能
- 法務、労務、人事の幅広い分野でのアドバイザーとしての地位が確立できる
- 社労士資格者は労働社会保険手続の代理業務を行えるため、必要な法的書類を速やかに作成・提出できる
社会労務士の難易度と勉強時間
社会労務士は、合格率10%以下と非常に難易度が高い国家試験です。勉強時間の目安は800〜1,000時間程度とされています。
【試験の概要】
▶試験科目:労働基準法、労災保険法、雇用保険法、厚生年金保険法、健康保険法、労働安全衛生法など、合計8科目
▶試験形式
- 選択式試験:各科目ごとに空欄補充形式(マークシート)
- 択一式試験:文章問題形式(マークシート)
▶受験資格:以下のいずれかを満たす必要がある
- 学歴による資格(大学・短期大学卒業、専門学校卒業など)
- 実務経験(労務関連職での一定期間の勤務経験)
- 国家試験合格(司法試験、行政書士試験など)
▶合格基準点:選択式と択一式のそれぞれに基準点が設定され、科目ごとの最低点を下回ると不合格(足切り制度)
出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト|過去10年の推移と合格者の年齢階層別・職業別・男女別割合
M&A業界特化型転職エージェントのユニークボックスでは、M&A仲介会社出身のキャリアアドバイザーがあなたの転職を支援します。お気軽にご相談ください。
無料で転職相談してみるM&A業界で働くうえで必要なスキル
転職活動では、とくに経験やスキルについても見られます。職務経歴書作成や面接の際には、以下のスキルを具体的なエピソードや成果と結びつけてアピールすることが重要です。
- 職務経歴書:過去の経験を具体的な数字や成果(例:成約件数、売上増加率)で示す
- 面接:困難な状況を乗り越えた経験や、クライアントから信頼を得たエピソードを語る
- 自己PR:スキルをどのように発揮し、M&A業界で貢献できるかを明確に伝える。
クライアントに選ばれる営業力
M&A業界では、営業力が重要視されます。とくに、クライアント(売り手・買い手企業)から信頼され、選ばれるための能力が必要です。
- 提案力:クライアントのニーズを的確に把握し、最適なM&Aスキームを提案する力
- 信頼構築力:経営者や意思決定者と短期間で信頼関係を築く能力
- 柔軟性:案件ごとに異なる条件や状況に対応し、柔軟に営業活動を進める力
営業力は、M&A案件のソーシング(案件発掘)からクロージング(契約締結)まで、全プロセスで必要とされます。
財務・法務・労務・税務などの幅広い知識
M&A業務は、多岐にわたる専門知識を必要とします。とくに以下の分野の知識が重要です。
- 財務:財務諸表の分析、企業価値評価など
- 法務:契約書の作成・確認、法的リスクの把握
- 税務:税務デューデリジェンスや税務リスクの評価
- 労務:従業員の雇用条件や労務リスクの確認
上記の知識は、M&Aプロセス全体を通じて、リスクを最小化し、取引をスムーズに進めるために必要です。
双方の利益を調整しながら合意を得るため交渉力
M&Aは、売り手と買い手の利害が対立する場面が多く、交渉力が成功の鍵となります。具体的には以下のスキルが求められます。
- 利害調整力:双方の利益を最大化するための妥協点を見つける能力
- 論理的思考力:複雑な条件を整理し、説得力のある議論を展開する力
- コミュニケーション力:相手の立場を理解し、信頼関係を維持しながら交渉を進める力
交渉力は、M&A契約の条件設定や価格交渉、PMI(経営統合)フェーズでも重要です。
最後まで取り組む粘り強さ
M&A案件は、1つのプロジェクトに6〜12か月以上かかることもあり、長期的な視点で取り組む粘り強さが求められます。
- 忍耐力:困難な状況でも諦めずに解決策を模索する力
- 責任感:案件を最後までやり遂げる姿勢
- 柔軟性:予期せぬ問題に対しても冷静に対応し、プロジェクトを前進させる力
粘り強さは、とくに交渉が難航したり、予期せぬトラブルが発生した際に発揮されるべき能力です。
M&A業界への就職・転職を成功させる4つのコツ
M&A業界への就職や転職を成功させるためのコツは、以下の4つです。
- M&A業界の理解を深める
- 志望動機を明確にする
- 自身がアピールできるポイントを整理する
- M&A業界特化型の転職エージェントを活用する
それぞれ詳しく解説します。
M&A業界についての理解を深める
M&A業界を理解するうえで重要なのは、業界構造やプレイヤーの役割、具体的な業務プロセスを把握することです。
M&A仲介会社は売り手と買い手を引き合わせ、スキーム策定やデューデリジェンスを経て契約締結まで導きますが、他にもFAS(Financial Advisory Services)や投資銀行部門(IBD)など、さまざまな専門機関が存在します。
未経験者が陥りがちなのは、これらの違いを理解しないまま面接に臨むこと。知識不足は面接官への不信感につながり、不採用の要因にもなりかねません。
書籍やネット記事、動画コンテンツを活用して基礎情報を収集し、業界全体像をクリアにすることが大切です。M&A業界の解像度の高さが、転職成功への第一歩となります。
志望動機を明確にする
志望動機は、その業界・企業で働く意義や個人的なモチベーションを示す重要なポイントです。
- 後継者不在問題の解決を目指す社会的意義
- 自らの収入を伸ばしたい
- 実力主義の環境で挑戦したい
- 将来の独立や起業に生かしたいなど
大切なのは、その理由を自己内省によってしっかり言語化すること。オリジナリティが求められるわけではありませんが、自身が「なぜM&A業界を選ぶのか」を納得感ある形で説明できなければ、面接官もあなたに将来性を見出しにくくなります。
志望理由の深堀りが、あなたが本当に求めるキャリアパスを見極め、面接で好印象を与えるカギとなるのです。
自身がアピールできるポイントを整理する
自己PRは、これまでの経験やスキルをM&A業界でどう活用できるかを伝える場です。
営業経験があれば人脈形成力や交渉スキル、コンサル経験があれば分析・提案力、金融や税務知識があれば財務・税務デューデリジェンスへの貢献が可能です。
重要なのは、ただ「強み」を列挙するのでなく、それがM&A取引の具体的な局面でどう役立つかを示すこと。
また、自分では気づかない強みを掘り起こすには、第三者の視点(転職エージェントや同僚)を参考にするのもおすすめです。強みを業界目線で再定義することが成功の近道です。
M&A業界特化型の転職エージェントを活用する
M&A特化型の転職エージェントを利用することで、業界の構造や各社の特色を正確に理解し、自分に合ったポジションを選べるようになります。
一般的なエージェントでは得られない業界内での信頼性や、裏情報ともいえる面接対策、非公開求人へのアクセスが可能です。
また、キャリアアドバイザーがM&A業界の経験者であれば、実務的な質問や応募企業の経営戦略・社風に関する説明を受けられます。
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